石麻呂に吾れもの申す夏痩せによしといふものぞ鰻とり食せ(『万葉集』巻16 3853・大伴家持)
石麻呂に私から申し上げよう。夏痩せにいいらしいぞ、鰻とって食え。

土用の丑の日です。
今回は『万葉集』からその土用の丑の日にぴったりな歌を取り上げてみました。
うたい出し、あえて丁寧な言い回しでもったいつけながらも、後半急にくだけている空気感がなんともオモロい雰囲気です。
家持とその友人の石麻呂の仲の良い感じがとてもよく出ていて大好きな歌です。

この歌はさらに次の歌にこう続きます。
「痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻を獲ると河に流れな」
(どんなに痩せるといっても生きていたらばこそ。鰻を獲ろうととして河に流されるなよ〜。お前心配だよ〜。)

じゃあさあ、家持が鰻とってあげればいいじゃん!?と突っ込みたくなるような微笑ましさ。
石麻呂が痩せっぽちなのをバカにしながらも、ちゃんと心配もしている家持くんがなんだか可愛く見えてきてしまいます。

それにしても、鰻はこんな時代から元気をくれる食材として知られていたのですね。
当時は砂糖も醤油もない時代ですから、白焼きに近い味わい方だったのでしょうか。
焼き方は輪切りにしたうなぎを串に刺して焼く、蒲の穂のような形状だったとも言われています。ワイルドです。
素朴な「蒲焼」も、一度体験してみたいものですね。