今日は三月三日。上巳の節句、ひな祭りですね。

ここ数日のうちの床の間にはこの掛け軸が掛かけています。詳しいことは分からないのですが、江戸末期から明治初期ごろのもののようです。

時代を考えると、もしかして右側は徳川家茂公で、左側は皇女和宮さまなのかななどと夫婦で話をしています。

歴史的なことはさておき、私たちは仕事柄やはり衣裳に目が行きます。
前回のブログ「重ね着は日本文化」でも書いたいわゆる十二単と呼ばれる唐衣裳(からぎぬも)。一番上にまとっているのが花菱があしらわれている紅梅色の唐衣(からぎぬ)。その下に五衣(いつつぎぬ)が重ねられて、青緑色の単(ひとえ)が見えます。

そして、後ろにプリーツスカートように広がっているのが裳(も)。こちらには格の高い「桐竹紋」。こちらには鳳凰はありませんが、天皇陛下の即位礼で御召しになられていた黄櫨染御袍(こうろぜんごぼう)は、桐竹鳳凰紋だったので、ご記憶のある方もいらっしゃるかも知れません。
こちらは平安時代から続く宮中における男性の正装である束帯(そくたい)。

格の高い黒い袍(ほう)には立涌(たてわく)という曲線の間には瑞雲(ずいうん)。瑞雲は中国の神仙思想を元として、おめでたいときに現れるという雲のことで、別名は霊芝雲(れいしぐも)。霊芝は漢方薬としても使われるキノコ。古代中国では不老不死の象徴と考えられていたようです。

御二方ともに格が高くとても縁起の良い柄をまとわれています(もし家茂公であれば残念ながら早世されてしまったわけですが)。


うちは子供もいないので雛壇を飾ることはしませんが、毎年小さな床に少し大きなこの軸を描けるようにしています。この軸をかけるだけで華やいだ心持ちになります。

さて、このご時世なので、様々なイベントごとが中止になっていますが、せめて少しはそれらしい気分をということを夫婦ともに「桃色」の帯で1日を過ごしました。
1日も早く穏やかな日常に戻れますように、心から祈るばかりです。