去る12月19日、東北自動車道が通行止めなり、上下合わせて2100台の車が立ち往生したニュースから二週間ほどたった。

 自宅付近はあれからの暖期(寒気が緩んだ時期を言う)で雪は全く姿を消したが、その現場を調査してはどうかと、有志からの連絡で早々に調査隊を結成して現地に向かった。


 以下、その顛末を「第一回降雪調査隊紀」として紹介する。


 メイン画像は越後川口SA付近だが、それほどの降雪量ではない所を見るとドカ雪の特徴だと分かる。一気に積もった雪は密度がないから、締まってくるとかさが減って見えるのだ。

 ここが今回渋滞が始まった小出I.C.の出口だ。とりあえずはここで降りて一般道の様子を見ることにする。

 一般道に下りて山沿いに走る、さすがに積雪は多い。こういう所はロータリー除雪車で吹き上げるしか道路の通行を確保できないが、おかげでケーキの断面のような奇麗な雪の回廊を見ることが出来るからこれも一興だ。

 前方に他の調査隊の車も見える。いったん駐車場に車を入れるが、県内はもとより品川、横浜のナンバープレートも見える。

 それらはフォレスターやエクストレイルの車種であるが、その地域でそれを所持している所を見るとなかなかのスノーフリークではないのか……。

 さて、踏査に入ろう、まずは感染防止を万全にしようと思う。(実は途中で息が結露してマスクの内側に水の膜を作ってしまい、酸欠状態で大変息苦しくなった。そこで、持ち合わせていた後ろに三つボタンで留めるネックウォーマーを、上のボタン一つだけ止めて巻いたが、それが大変良かった。下から空気がどんどん入って息が楽になり抜群の装着だと、自画自賛したことを付け加える。しかし、滑走中はそんな配慮は果たして必要だったのだろうか? リフト搭乗時も調査員同士なのにねぇ)
 シニアは4100円で食事券も付いているからそれにしようと、途中で手に入れたクーポン券を使うが、同行の隊員による下調査の情報には恐れ入った。

 ブナの木に花が咲くようにたくさんのヤドリギがある、この光景は結構好きだと頂上付近の踏査に向かう途中で自然の景色をかいま見る。
 この小屋の前には非圧雪斜面(ここを見ると幅広のスキーを持つ人を思い出すが、このすぐ後にはうらやましくもなるのだが……)があるのだが、積もった雪の状態を見なければいけないだろうなぁと、斜面の上で躊躇していると、調査隊員の孫の小学二年がボードで滑走を始めてしまった。

 「ちょ、ちょっとまて! そんなに簡単に行くのかぁ」無謀な彼をほっておけないので「えい!」と滑走に入る。
 かっ、軽い! 何人も滑走した割には抵抗がなくターンもすこぶる楽で、舞い上がる新雪がサングラスにぶつかって気分がいい。

 やはり予想通り雪の密度はかなり薄い。この辺りの標高になると、気温も低いから雪は日を置いても締まらずに積もったばかりの状態を維持しているようだ。
 こういう時は気を付けなければいけない。転倒すればその綿のように軽い雪に埋もれてしまって身動きが出来なくなる。最近、コース外滑走で埋もれて死亡事故もあったと聞く。

 だが、その小二くんはボードも新調してうまくなった(まぁ、こういう場所なら抵抗のあるボードはイケイケでも滑れるがねと、スケボー時代からのグーフィーで乗るボード経験もあって横目で見ながら冷ややかに思っているのが、ちょっといやらしかったなぁ)ようだ。
 彼はコブの抵抗がない急斜面はもともと得意だから無難に滑走している。こちらだって、彼を気にしながらの滑降も余裕だぞと、ネックウォーマーの選択に続き自画自賛だ。

「えっ!」あと少しで圧雪バーンと言う手前の緩斜面で彼は転倒してしまったじゃぁないか。仕方がない、レスキューだ。

 レスキューは簡単だと思ったが、これは甘く見てしまった。傾斜がゆるいから進めないどころか、彼は埋まって立てない。
 ボードを外そうとする彼をやめろと制した。外せばなお立てなくて埋まってしまうし歩けない。再度ボードを履こうとしても雪の抵抗が弱いからなお自由が利かなくてそれが出来ないからだ。

 そこで、彼を引き上げてこちらのスキー板の上にボードごと乗せて自立させた。止まらず行けと押してようやく脱出させるが、今度はこちらのスキーが埋まってしまった。

 全く、ストックもすっぽり刺さって抵抗がないから頼りにならない。なにくそと、渾身の力でスキーを持ち上げて深く潜ってしまったスキーの先端を強引に雪から出す。そしてそのまま後傾を保ってこちらもようやく脱出した。

 これは、シニア券では体力を消耗しすぎる仕事だったのではないだろうかと思う一方で、間違いなく短時間での大量で深い降雪だったとの証拠は確実につかんだではないかと、十分過ぎるほどのこの体験を通して貴重な雪との格闘を終えた今、感慨深くそれを感じたのだった。
 さて、第一回降雪調査隊紀は一応の成果を出せた。山の日没は早いからと、帰路に着く人影も見える。我々も早々に切り上げるとしようと言うことになり、どうせなら近くに車を持ってきますよと小二のパパが提案した。まったく見事な判断だと彼を賛美するとともに、これ以上の体力の消耗を防いでくれたことに感謝をした。
 
 それを待つ間に周りをながめると、ゲレンデとは反対側の建物と山の斜面が、傾きかけた日の光を受けてとても奇麗だ。そして、青空の美しい景色をようやく見せてくれた自然の小憎らしい計らいに、敬礼をしたのか、ただスマホのシャッターを押しているだけなのかは……皆様の想像に委ねようではないか。
 おしまい。