不安定なご時勢ですが、自然の世界では日に日に春が近づいて来ました。
七十二候では冬籠りの虫が這い出る「啓蟄(けいちつ)」の菜虫化蝶(なむしちょうとなる)。冬眠から覚めた虫たちが準備を終えて、まさに春の空に羽ばたこうとしているそんな時期。
毎日着物生活をしていると、日々の忙しさの中でも、季節や暦に合わせた取り合わせを考えます。今日はわかりやすい季節のモチーフがなくても、色だけで春らしさを感じるコーディネートをしてみました。
細かい江戸小紋の染めの着物に軽やかに結べる博多献上柄の帯です。帯揚げに綺麗な黄色系に、帯締めに鮮やかな緑系を持って来ることで菜の花とその周辺を舞う黄色の蝶々のイメージです。
ちなみに江戸小紋は江戸時代は武士の裃として使われた型染めの技法。そして、博多献上柄の帯は上級武士だけが締めることができた角帯でした。今ではどちらも女性の着物での取り合わせですが、江戸らしい粋なコーディネートです。
江戸小紋の柄は亀甲の中に鶴が向き合っている向鶴亀甲。鶴亀の大変縁起の良い柄です。また、帯の博多献上柄は、江戸時代に福岡の黒田藩が幕府に男性用の角帯を献上していたことが名称の由来です。柄は仏具の独鈷(どっこ)と華皿をモチーフにしたもの。邪悪なものを跳ね除け、幸運を引き寄せる紋様です。
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本日は写真のコーディネートをYoutubeの動画でもご紹介していますので、ぜひご覧くださいませ。
紅子の365日着物コーデ vol.49
https://youtu.be/IRTRv-SP4Ms
ポカポカ陽気に桜も待っていられなかったようです。

本日のコーディネートの季節を色で表現したものですが、もう1つのテーマは、長閑(のどか)な春。早く本当の春が来ますように。