ある日、ぶぶぶぶーんと重低音の車の音がして外に出てみると。
大きな笑顔で、赤い細いリボンを留めた髪が可愛らしい女性が工房の前にいらっしゃいました。後ろには優しそうな笑顔の旦那様。
レモンイエローとグリーンのラッピングのお土産は、お庭で採れたレモンでした。

私が紹介されたTVをご覧になって、わざわざ調べてお越しくださったとのこと。
土もののポット2つの金継ぎお直しのご依頼でした。
ご依頼はもちろん嬉しいのですが、彼女に出会えたことが特別嬉しくて、思わずはしゃいで、頼まれたわけでもないのに自宅まで案内していました。

その方のまわりの空気がスーッと伝わってくるような人?に出会えた時、それだけでめちゃくちゃ楽しくなります。
その日は、そんな日でした。

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ポットの注ぎ口や取手の修理は、形を復元するだけではなく、その後もお使いいただける様にするには時間のかかる仕事です。今回のご依頼も見えない部分にも補強を入れ、工夫をしながらの作業となりました。

すっかり季節が変わってようやくお直しが完了しました。お待たせして申し訳ないなあと思いながら、実はまたお会い出来るのが嬉しくて、今度は私が道を調べてわくわくしながらお届けに上がりました。

お孫さんたちが訪ねて来られた時に、と絵本がたくさん並び、小さな置物のひとつひとつに物語が(きっと)詰まっているお部屋に通していただきました。まさに大好きな絵本のページをめくるような時間。というより、絵本の中にいるような時間と感覚にまたはしゃぎすぎてしまい、反省しながら帰路につきました。

お直しを、という気持ちには、人それぞれの思いが込められています。ご依頼時にそれをお聞きすることが多いのですが、今回はお直しの後に、大切なお子さまたちへの、とっても大事なお母さんの思いを感じました。

どうか、思いがずっと繋がりますように。
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