こんにちは。木下着物研究所の木下勝博です。

気づけばもう小雪となり、気温も寒い日も増えて参りましたので、冬の訪れを感じ始める季節ですね。

前回のブログはちょうど銀座三越さんでの一週間のポップアップストアが始まる前日に投稿させて頂きました。冒頭の写真はそ銀座三越の売場での様子です。


さて、今回のテーマ「作業着の着物」。私自身タイトルを書きながら多少の違和感?を感じつつ、分かりやすさという意味でこのタイトルとさせて頂きました。


ほぼ毎日365日着物/和装で生活していますので、国内外どこへ行くのも着物です。着物というと一般的に冠婚葬祭のフォーマルのイメージが強いと思いますので、「作業着の着物」って何だと思われたかも知れません。もちろん一般的なカテゴリーとしてそういうものがあるわけではありません。

<私にとっての作業着の着物>


今回、銀座三越の準備のために会期前夜の閉店後から商品の搬入と陳列の作業がありました。上記はその時の私の装いです。


デニム生地で誂えた半着(腰丈の着物)と簡単に着用できるようにしたパンツ状の袴です。

写真では分かりにくいかも知れませんが、着物の袖は丈が短くかつ丸みを付けてあるので、襷掛けなどをしなくても作業がしやすい仕様になっています。


また、袴は一般的なものに比べて幅を狭くし、ヒダも無くし、ポケットとファスナーも付け、パンツを履いているのとあまり変わらないようにしています。


また、素材がデニムのため、汚れても自宅の洗濯機でガシガシ洗うことができます。今回に限らず、海外や遠方に出張に行ったり、汚れる可能性がある環境などで活躍する着物です。


<同日の木下紅子の装い>


一方、同日の妻・紅子の装いは上記でした。
今回に限らず、日常の中でも女性が着物で作業をするときに活躍をするのは割烹着です。女性の場合は着物だけではなく、帯の幅が広く、帯締めなどの付属品などもあり、引っ掛かったり、汚れたりする可能性のあるものが多いです。そのため、膝上くらいから上半身を全て覆う割烹着を着用することでケアすることができます。

割烹着の下に着ているのは、スーツ用の生地で仕立てたウール素材の着物です。着物というと正絹(シルク)のものばかりのイメージかも知れませんが、その他にも様々な素材があります。

<Audiの取材時のスーツ生地の着物>

このくらいの季節から春先まで私たちが着用頻度が高いのが、このスーツ生地の着物です。


スーツの生地というとウールである毛織物。日本に本格的に毛織物が入ってくるようになったのは近代。そして、日本でも大正時代になると毛織物が織られるようになったようで、特に昭和に入ると安価で保温性の高いウールの着物が普及したようです。
ただ、この時代のウールの着物は普段着用で防寒性の高い肉厚の素材。重くチクチクする着物も少なくありません。

一方、私たちが日常的に着用しているのは、細い糸で織られた上質なスーツ生地。ウール100%のものもありますが、シルクなどの素材との交織の生地の場合もあります。
軽くシワにもなりにくくため、着ていて心地よく、それでいてメンテナンスもシルクに比べると気軽です。


このように日常生活の中で着る着物は、シルク素材に限らず、季節やその環境に応じて様々な素材の着物を使い分けています。


大変残念なことは、着物を日常生活で着る方がほとんどいないため、こういったニーズを満たす商品を一般の呉服屋さんでの取り扱いがないことです。


私たちは、毎日着物を着ている私たち自身を研究所の「研究」対象として捉え、より生活に取り入れられる着物や和装品の研究開発をしています。商品化に至っていないものも含め、様々な試行錯誤を繰り返しています。


今までは試作レベルのものや商品化していないものを積極的に開示することはして来ていませんでした。今回くらしのこよみ友の会でこのような場に寄稿させて頂く機会を頂くようになりましたので、私たちの着物生活の様子を共有させて頂きたいと思います。
友の会にどのくらい着物を着られる方がいらっしゃるのか分かりませんが、友の会仕様の着物周りの商品企画などを皆さんとご一緒にできると楽しいかも知れません!着物周りのお困りごとや、こんなのあったら欲しいなどご意見がありましたら、ぜひコメントをお願いします。

「サザエさんのフネさんのように着物生活したい」

そんな方からお声を掛けて頂くことも少なくありません。令和のフネさんを増やすこと寄与できましたら嬉しいです。

【ご参考】
Audi のWebサイトなどでご紹介頂いた記事です。
この中でもスーツ生地の着物を着ていますので、ご覧頂けましたら幸いです。
http://www.audi-sales.co.jp/special_content/my_style_a6se/index.html